良い支援者って、どんな人なんだろう
――病院でも、施設でも、事業所でも。組織の中で物事を進めるために必要なこと
良い支援には、相手に寄り添う力だけでなく、その思いを組織の中で形にする力も必要なのかもしれません。
昨日、同じ認知症看護認定看護師の方と話す機会がありました。
その中で、改めて考えたことがあります。
良い支援者とは、どんな人なのだろう。
看護師であれば、注射が上手い人なのか。
薬や病気についての知識が豊富な人なのか。
患者さんに優しく寄り添える人なのか。
介護職であれば、利用者さんの生活を丁寧に支えられる人なのか。
それとも、職種にかかわらず、周囲と調整しながら必要なことを実際に形にしていける人なのか。
どれも大切だと思います。
だからこそ、「良い支援者とはこういう人」と、一つの基準だけでは決められないのだと思います。
良いことを考えるだけでは、動かないことがある
認知症看護認定看護師として病院全体を見ていくと、患者さん一人ひとりに関わる看護だけではなく、組織全体で取り組まなければならないことがあります。
例えば、身体拘束を少しでも減らすための取り組み。
認知症のある方への接し方についての研修。
高齢者の立場を体験してもらう研修。
記録方法の見直し。
職員が認知症について学ぶ仕組みづくり。
どれも、認知症のある方にとってメリットがあることだと思います。
ただ、「良いことだからやりましょう」と言っただけで、病院全体が動くわけではありません。
何百人もの患者さんが入院し、多くの職員が働いている組織であれば、立場も考え方も違います。
現場で働く人。
管理する立場の人。
医師。
事務職。
それぞれ見ているものも、優先しなければならないことも違います。
会議に出す前に、話をしておく
昨日話した認定看護師の方は、何かを進めるときに、まず関係する人に事前に話をしておくことを意識していると言っていました。
例えば、
「今度、こういうことを会議に出そうと思っていますが、どう思いますか」
と聞いてみる。
そこで、
「この部分は変えた方がいい」
「現場では、こういう問題が出るかもしれない」
という意見があれば、会議に出す前に修正する。
必要であれば、別の部署にも先に相談しておく。
そうやって、いろいろな人の意見を聞きながら案を整えた上で、正式な場に出していく。
その方は、それを「外堀を埋める」と表現していました。
私は話を聞きながら、
「なるほど。こういう進め方も必要なんだな」
と思いました。
自分の考えを通すためというよりも、実際にその取り組みが現場で動くようにするための準備なのだと思います。
寄り添う思いを、組織の動きにつなげる
私はこれまで、患者さんに寄り添う看護を大切にしてきたつもりです。
認知症のある方が何を感じているのか。
なぜそのような行動になるのか。
その人の人生や価値観を考えながら関わること。
そこは、これからも自分の軸として持っていたいと思っています。
でも昨日の話を聞きながら、少し考えました。
良い支援を考えることと、その支援を組織の中で実際に形にすることは、同じではないのかもしれない。
どれだけ良い考えを持っていても、周囲に伝わらなければ動かない。
正しいと思うことを会議で訴えるだけでも、なかなか進まない。
必要な人に事前に相談し、意見を聞き、修正しながら、多くの人が動ける形にしていく。
そういう力も必要なのだと思います。
これは病院だけの話ではないでしょう。
介護施設でも、事業所でも、地域の集まりでも、会社でも、何かの組織であれば同じことが言えるのだと思います。
立場が違えば、考え方も違う。
自分にとって良いと思うことが、相手にとっては負担になることもある。
だからこそ、まず話をして、意見を聞き、少し修正しながら進めていく。
その積み重ねが、結果として物事を動かす力になるのかもしれません。
管理職も含めて、組織として関わり方を考えることについては、「「もう変わらないから」で終わらせて良いだろうか」でも書いています。
良い支援者とは、どんな人なのか。
知識がある人。
技術がある人。
相手に寄り添える人。
そして、自分が良いと思ったことを、周囲と一緒に実際の形にしていける人。
昨日の話を聞いて、私の中に一つ、新しい基準が加わったような気がしました。
まだ「良い支援者とはこういう人だ」という答えは出ていません。
でも、自分に足りないものが何なのかを考えるきっかけにはなりました。
相手に寄り添う力と、その思いを現場の中で形にしていく力。
どちらも持てる人になれたらいいなと思います。
