介護が上手な人と、うまくできない人。その違いは何だろう
認知症カフェで聞いた、家族の工夫
今日は認知症カフェで、レビー小体型認知症の方を介護しているご家族から相談を受けました。
本人を否定せず、受け入れやすい言葉や好きな物へ置き換える家族の工夫から、介護の上手さについて考えます。
いろいろとお話を聞いていたのですが、その中で私がとても印象に残ったのは、その方の「介護の仕方」でした。
話を聞きながら、何度も「上手だな」と思ったんです。
「おむつ」ではなく「白いパンツ」
たとえば、本人におむつを履いてもらうとき。
「おむつを履こう」とは言わず、
「白のパンツを履こう」
と声をかけているそうです。
やっていることは同じです。
でも、「おむつ」と言われるのと「白のパンツ」と言われるのでは、本人の受け止め方はずいぶん違うのかもしれません。
「おむつなんて必要ない」「そんなものは履きたくない」と抵抗されるところを、本人が受け入れやすい言葉に自然と置き換えている。
なるほどな、と思いました。
ティッシュを取り上げない工夫
もう一つ、印象に残った話がありました。
時々、本人がティッシュを口に入れて食べようとすることがあるそうです。
そんな時も、慌ててティッシュを取り上げたり、
「それは食べたらダメ」
と強く止めたりはしないそうです。
代わりに、
「これより、こっちの方がおいしいよ」
と言って、本人が大好きな「白い風船」というお菓子を渡す。
そして、お菓子の方に気持ちが向いたところで、ティッシュをゆっくり片付けるそうです。
これも、本人の行動を無理に止めようとしていません。
「ダメ」と否定するのではなく、本人が受け入れやすい別のものをそっと差し出している。
こういう関わり方は、認知症の介護ではとても大切だと思います。
介護を仕事にしていたわけではない
さらに驚いたのは、この方が介護施設などで働いていたわけではないということです。
介護の専門職として、こうした対応方法を習ってきたわけでもない。
本人と毎日一緒に過ごす中で、
「こう言った方がいいかな」
「こうした方が嫌がらないかな」
と考えながら、自然とこんな工夫をされているようでした。
それを聞いて、私は少し考えました。
介護が上手な人と、うまくできない人
介護が上手な人と、なかなかうまくできない人。その違いは何なんだろう。
もちろん、認知症についての知識は大切です。
病気の特徴や対応方法を知ることで、介護が楽になることもたくさんあります。
でも、それだけではないような気もします。
本人が今、どう感じているのか。
どんな言葉なら受け入れられるのか。
どうすれば嫌な思いをさせずに済むのか。
そういったことを相手の立場から考えることが、自然にできる人もいるのかもしれません。
そして、その人自身の性格や、これまでどんなふうに人と接してきたのかということも、関係しているのかもしれません。
これまでの関係も影響するのかもしれない
もう一つ考えたのが、介護する人と介護される人の、それまでの関係です。
今まで優しくしてもらったから、自分も優しく返したい。
そんな気持ちになることもあると思います。
反対に、これまで長い間つらい思いをさせられてきた相手に、介護が必要になったからといって、突然優しく接することができるのか。
それは、そんなに簡単なことではないと思います。
いつも優しくできるわけではない、という家族の思いについては、「家族は神様ではない。認知症介護は「二択」で考える」でも考えています。
介護は、介護が必要になった日から突然始まるように見えます。
でも実際には、それまで何十年と続いてきた二人の関係の、その先にあるものなのかもしれません。
もちろん、今日一日考えただけで答えが出るような話ではありません。
「介護が上手な人と、うまくできない人の違いは何なのか」
まだ私にも答えは分かりません。
ただ、今日の相談を受けて、そんなことを考えました。
そして、自分のことを考えた
ここまで考えて、最後は自分のことになりました。
自分だって、いつか介護される側になるかもしれません。
その時、これまで自分が相手にどう接してきたのか。
それも、もしかしたら返ってくるのかもしれない。
そう考えると、
今のうちから、配偶者には優しくしておこう。
そんなことを思った一日でした。
