最近の研究でわかってきた「認知症は物忘れから始まるとは限らない」ということ
今日は、認知症について改めて勉強する時間がありました。
その中で、少し立ち止まって考えたことがあります。
認知症は、物忘れだけでなく、意欲・不安・怒りっぽさなどの行動や性格の変化から始まることがあります。ポイントは、「以前のその人と比べて何が変わったか」を見ることです。
認知症というと、どうしても最初に思い浮かぶのは「物忘れ」です。
同じことを何度も聞く。
物を置いた場所が分からなくなる。
約束を忘れる。
私自身も、認知症の相談を受けるときには、こうした「記憶の変化」を意識して話を聞いています。
ところが今日、資料を見ながら改めて感じたのは、
認知症は、必ずしも物忘れから始まるとは限らない
ということでした。
「最近、少し人が変わった」
今日見ていた資料の中に、MBIという言葉が出てきました。
日本語では「軽度行動障害」といいます。
名前だけ聞くと、なんだか難しく感じます。
でも、書かれている内容を一つひとつ見ていると、私が普段の相談の中で家族から聞く言葉と、とてもよく重なっていました。
「最近、何にもしたがらなくなりました」
「昔はこんなに怒る人じゃなかったんです」
「何でもないことを、ものすごく心配するようになりました」
「以前は人のことをよく考える人だったのに、最近は少し違うんです」
「妙に一つのことにこだわるようになりました」
こうした話です。
これまでも何度となく聞いてきた言葉なのですが、今日改めて資料を見て、
「ああ、こういう変化にも、もっと注意して話を聞く必要があるんだな」
と思いました。
物忘れではなく「人となり」の変化から始まることもある
MBIでは、50歳以降に、それまでにはなかった行動や性格の変化が現れ、それがある程度長く続くことに注目します。
たとえば、
何をするにも億劫になる。
不安が強くなる。
怒りっぽくなる。
衝動的になる。
同じことに強くこだわる。
人への気遣いや共感が以前より乏しくなる。
疑い深くなったり、場合によっては幻覚のような症状がみられたりする。
今日の資料には、そうした変化がいくつかに分けて示されていました。
でも、私はこれをそのまま覚えることよりも、
「以前のその人と比べて、何か変わっていないだろうか」
という視点のほうが大切なのではないかと思いました。
「昔はこんな人じゃなかったんです」
認知症の相談をしていると、家族からこの言葉を聞くことがあります。
「昔はこんな人じゃなかったんです」
これまでも大切な言葉だと思って聞いていました。
でも今日、改めてその重みを感じました。
物忘れであれば、
「同じことを何度も聞くようになった」
「最近、忘れることが増えた」
と比較的気づきやすいかもしれません。
一方で、性格や行動の変化は、
「年を取ったからかな」
「頑固になっただけかな」
「仕事を辞めたから元気がなくなったのかな」
と受け止められてしまうことがあります。
もちろん、本当に年齢や生活環境の変化によることもあります。
すべてを認知症に結びつけて考える必要はありません。
ただ、
「何となく前と違う」という家族の感覚を、簡単に流してはいけないのかもしれません。
そう考えると、やっぱり「その人を知る」ことになる
認知症看護を学んだときに、
まず、その人の人となりを知ること
と教えられました。
これまでどんな仕事をしてきたのか。
人との付き合い方はどうだったのか。
何を大切にして生きてきたのか。
もともとはどんな性格だったのか。
今日、MBIについて考えながら、結局ここに戻ってくるような気がしました。
その人の「これまで」を知らなければ、
今の姿がその人らしさなのか、
それとも何かが変化しているのか、
気づくことができません。
検査の点数を見ることも大切です。
物忘れについて尋ねることも大切です。
でも、それだけでは見えてこないものもあるのだと思います。
物忘れだけでなく「以前との違い」を聞く
これから家族から、
「最近、少し人が変わったんです」
と言われたとき。
私は以前より、もう少し詳しく聞いてみようと思います。
いつ頃からそう感じるのか。
以前はどんな人だったのか。
どんなところが一番変わったと感じるのか。
そして、その変化が今の生活にどのような影響を与えているのか。
認知症は「物忘れの病気」。
もちろん、それは間違いではありません。
でも今日の学びを通して、
認知症の入り口は、私たちが思っているよりいろいろなところにあるのかもしれない
と感じました。
「昔はこんな人じゃなかったんです」
これからは、この言葉を今まで以上に大切に聞いてみようと思います。
