認知症と暮らし・家族

もの忘れだけではない。早期にきづきたい「お金」と「薬」②

もの忘れだけではない「お金」と「薬」の変化―財布と薬を確認する高齢女性と家族
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昨日は、アルツハイマー病では比較的早い段階から「お金」と「薬」の管理に変化が出ることがある、という話を書きました。

前回の「もの忘れだけではない。早期にきづきたい「お金」と「薬」①」では、お金や薬の管理に表れる変化について書いています。

では、なぜ早く気づくことが大切なのでしょうか。

今は、アルツハイマー病によるMCIや軽度認知症の段階であれば、条件によっては抗アミロイドβ抗体薬による治療を検討できる時代です。

つまり、早く受診することで、治療の選択肢を持てる可能性があります。

これは大きな変化だと思います。

ただ、私が早期受診を大切だと思う理由は、それだけではありません。

早く受診することで、準備する時間ができる

認知症が進行してから初めて医療につながる方の中には、不安や怒りっぽさ、妄想、興奮、帰宅要求などが強くなり、家での生活が難しくなっている方もいます。

本人もつらい。

家族も疲れ切っている。

そして、結果として本人が望んでいなくても、精神科への入院を選ばざるを得なくなることがあります。

もちろん、その時点では入院が必要な場合もあります。

でも、支援をしていると、

「もう少し早く出会えていたら、違う経過になったのではないか」

と思うことがあります。

早い段階で受診できれば、

本人が病気について知る時間ができます。

家族も認知症について学ぶことができます。

お金や薬の管理をどうするか、本人と一緒に考えることができます。

介護サービスや地域の支援者とも、早いうちからつながることができます。

そして何より、本人がまだ自分の考えを十分に伝えられる時期に、

「これからどう暮らしたいか」

を一緒に考えることができます。

BPSDが強くなってからでは、選べることが少なくなる

認知症が進行すると、いわゆるBPSDと呼ばれる症状が出ることがあります。

強い不安。

怒りっぽさ。

妄想。

興奮。

帰宅要求。

徘徊。

こうした症状が強くなると、本人の希望だけでは生活を続けられなくなることがあります。

家族も追い詰められ、支援する側も、まずは安全を優先しなければならなくなります。

その結果、

本人が望んでいない入院。

本人が望んでいない生活の場。

そうした選択をせざるを得ないことがあります。

だからこそ、症状が強くなる前に支援につながることには、大きな意味があると思っています。

早期受診は「早く診断すること」ではない

早期受診というと、

「早く認知症という診断をつけること」

のように聞こえるかもしれません。

でも、私はそうは思っていません。

早期受診とは、

その人が自分のこれからを考える時間を残すこと

だと思っています。

治療を選ぶ。

支援を選ぶ。

家族と話し合う。

これからの暮らし方を考える。

そうした選択肢を、できるだけ多く残しておくことです。

昨日書いた「お金」と「薬」の変化も、そこにつながっています。

銀行や薬局での小さな気づきが、

早期受診につながる。

早期受診が、

治療や支援につながる。

その結果、

本人が望まない入院を減らせるかもしれない。

認知症の早期発見とは、単に病気を早く見つけることではありません。

その人の人生の選択肢を、できるだけ多く残すこと。

私は、そこに一番大きな意味があると思っています。

プロフィール
しるべ
しるべ
認知症看護認定看護師
認知症看護認定看護師として、認知症疾患医療センターで認知症に関わっています。 これまで急性期病院での勤務経験があり、ケアマネジャー資格、家族の介護経験もあります。 専門職としてだけでなく、家族として悩んだ経験も含め、日々の関わりの中で感じたことや気づいたことを、自分の言葉で綴っています。 正解を押しつけるのではなく、「こんなこともあるよね」と一緒に考えられる場所にしたいと思っています。
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