日々の気づき

資格は一度取ればそれでいいのか――ケアマネジャーの更新制度廃止から考えたこと

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先日、あるケアマネジャーさんとの関わりの中で、少し考えさせられることがありました。

ケアマネジャーの資格更新制度は廃止されますが、研修まで不要になるわけではありません。この記事では、制度変更と、専門職が学び続ける意味を考えます。

その方は長く地域で仕事をされ、これまで多くの在宅生活を支えてこられた方です。

一方で、年齢を重ねる中で、以前とは少し違うのではないかと感じる場面もありました。

耳が聞こえにくくなっていることもあり、周囲とのやり取りがうまく噛み合わない。

周囲から見ると、自分の考えを優先しているように映ることもある。

それでも本人には、

「これまで自分は在宅を支えてきた」

という自負があるのだと思います。

そして、それまで積み重ねてきた経験そのものを否定することはできません。

だからこそ、私は考えました。

ケアマネジャーの更新制度が廃止される

これまで介護支援専門員証には5年間の有効期間があり、研修を受けて更新する仕組みになっていました。

今回、その更新制度が廃止されることになりました。

ただし、これは、

「一度ケアマネジャーになれば、もう勉強しなくてよい」

という話ではありません。

資格更新と研修受講を切り離し、資格を失わない形にしたうえで、必要な研修は継続して受けていく方向です。

私は、この考え方自体は理解できます。

資格を維持するために長時間の研修を受けなければならない。

仕事を休んで参加しなければならない。

費用もかかる。

その負担が大きすぎて、ケアマネジャーとして働くことをやめる人がいるのであれば、それは人材不足が続く現場にとっても大きな問題です。

一方で、更新制度がなくなるという話を聞いたとき、私は少し別のことも考えました。

資格を持っていることと、今も役割を果たせることは同じなのだろうか

資格を取得したときには、十分な知識や判断力があった。

しかし、それが10年後、20年後、30年後も同じとは限りません。

制度は変わります。

支援の考え方も変わります。

認知症に対する考え方一つをとっても、以前とはずいぶん変わってきました。

そして変わるのは、制度や知識だけではありません。

私たち自身も年齢を重ねます。

耳が聞こえにくくなることもあります。

新しい制度についていくことが難しくなることもあります。

考え方が固定的になることもあるかもしれません。

もちろん、年齢だけで専門職としての能力を判断することはできません。

高齢になっても素晴らしい仕事をされている方はたくさんいます。

ですから、

「高齢になったら仕事を辞めるべきだ」

ということを言いたいわけではありません。

むしろ、年齢に関係なく、

今の自分が、その役割を果たせているのかを確認する機会は必要なのではないか

と思うのです。

自分自身の変化には気づきにくい

ここが一番難しいところなのかもしれません。

人は、自分自身の変化にはなかなか気づけません。

周囲から見れば、

「以前とは少し違う」

と思われていても、

本人はこれまでと同じように仕事をしているつもりかもしれません。

これは認知症に限った話ではありません。

難聴で相手の話が十分に聞き取れない。

体力が低下する。

新しい制度を理解することが難しくなる。

長年の経験があるからこそ、自分のやり方を変えにくくなる。

誰にでも起こり得ることだと思います。

だから、資格を一度取得したら終わりではなく、

ときどき自分自身を振り返る機会が必要なのではないでしょうか。

更新研修をなくすことと、学びをなくすことは違う

今回の制度改正では、更新のためだけに研修を受ける仕組みはなくなります。

一方で、研修そのものは残ります。

むしろ私は、ここが大切なのではないかと思います。

「資格を失わないために研修を受ける」

のではなく、

「今も専門職として役割を果たすために学ぶ」。

研修の意味が、少し変わるのではないでしょうか。

ただ、それだけで十分なのかという疑問もあります。

研修を受ければ、本当にその人の専門性が維持されていると言えるのか。

研修を受けたという事実だけで、その人が適切に利用者や家族を支援できていると判断できるのか。

そこは別の問題だと思います。

ケアマネジャーだけの問題ではない

そして、この話はケアマネジャーだけの問題ではないと思います。

医師や看護師はもちろん、社会福祉士、介護福祉士、薬剤師、リハビリ職など、さまざまな資格にも共通することではないでしょうか。

一度資格を取得すれば、その資格をもとに長く仕事を続けることができます。

しかし、資格を取得したときの知識や判断力が、その後もずっと維持されているとは限りません。

制度も変わります。

技術も変わります。

社会の価値観も変わります。

そして、自分自身も変化していきます。

さらに、資格を持っているだけでなく、管理職や責任ある役職に就いている人もいます。

しかし、役職に就いていることと、その役割を現在も十分に果たせていることは同じではありません。

年齢や経験年数に関係なく、役職に求められる判断力や調整力、周囲とのコミュニケーションなどが維持されているかを、ときどき確認する仕組みも必要なのかもしれません。

これは自分自身にも返ってくる

こういうことを書いていると、結局は自分自身の話にもなります。

今の私は、自分では仕事ができているつもりです。

認知症について学び、新しい制度や考え方についても、できるだけ知ろうとしています。

しかし10年後も同じかどうかは分かりません。

もしかすると周囲は、

「少し変わってきた」

と感じているのに、

自分だけが気づいていないこともあるかもしれません。

「資格を持っているから大丈夫」

「長年やってきたから大丈夫」

とは思わないようにしたい。

資格を更新する制度があるかどうかではなく、

専門職として、自分自身を更新し続けられるか。

今回の出来事を通して、私はそこを考えさせられました。

プロフィール
しるべ
しるべ
認知症看護認定看護師
認知症看護認定看護師として、認知症疾患医療センターで認知症に関わっています。 これまで急性期病院での勤務経験があり、ケアマネジャー資格、家族の介護経験もあります。 専門職としてだけでなく、家族として悩んだ経験も含め、日々の関わりの中で感じたことや気づいたことを、自分の言葉で綴っています。 正解を押しつけるのではなく、「こんなこともあるよね」と一緒に考えられる場所にしたいと思っています。
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